
(写真:7年間共に過ごした飼い猫)
先日、長年共に暮らしてきた飼い猫が静かに息を引き取りました。
家の近くに捨てられており、指は欠損し、人に中々なつかない猫でしたが、次第に打ち解けていきました。
それでも知らない人が来るとおびえたように隠れる猫でした。
挙句の果てには、癌でその短い一生を終えました。
果たして幸せだったのか・・・。日常を共にした存在を失うことは、想像以上に心に大きな穴をあけます。深い悲しみの中で私は、この出来事を通して「福祉の支援とは何か」という問いに立ち返ることになりました。
猫は言葉を話しませんし、人のように意識して支援をしていたわけではありません。しかし、仕事や生活に疲れて帰宅したとき、そばにいてくれるだけで安心できたことを思い出します。言葉や行動がなくとも「存在そのもの」が大きな支えになる――これは福祉における支援の本質に重なるのではないでしょうか。
福祉の現場では、私たちはつい「何をしてあげられるか」という行為に目を向けがちです。もちろん技術や知識は欠かせませんが、人が人生の岐路や終末期を迎えるとき、最も必要とされるのは「ただそばにいること」「安心を与える存在であること」です。これは飼い猫が教えてくれた最も大切な姿勢でした。
命の終わりは避けられません。だからこそ、その過程でどれだけ「安心して生きられた」と感じてもらえるかが重要です。猫の死を通じて私は、支援者の役割とは“生を長らえること”以上に“生きている今を安心に満ちたものにすること”にあると強く感じました。
福祉に携わる者として、この経験を無駄にせず、利用者一人ひとりにとっての「安心の存在」になれるよう努めていきたいと思います。飼い猫が示してくれた「寄り添いの力」を胸に刻み、日々の実践に生かしていきたいと考えています。(写真・文・構成/田中)


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