
「やらなきゃいけないことがあるのに、動けない」
「気持ちばかり焦って、なぜか何も手につかない」そんなふうに感じる日が、誰にでもあります。
自分を責めたくなる気持ちも、わかります。
でも——まずは一度、深呼吸をして、少し立ち止まってみませんか。やる気が出ないときに無理に頑張ろうとするよりも、
やる気が“湧いてくる土台”を整えることの方が、ずっと大切なのです。
■ やる気が出ないのは「意志が弱いから」じゃない
意外かもしれませんが、「やる気」は気合や根性でコントロールできるものではありません。
実際、やる気に関わっているのは、脳の中で働くいくつかの神経伝達物質です。
🔬 主に関わるホルモンたち:
ドーパミン:意欲や達成感、集中力を高める
セロトニン:心の安定や安心感をもたらす
ノルアドレナリン:覚醒、注意力、行動のスイッチを押す
これらのホルモンは、睡眠や食事、日光、運動、ストレスなどの影響を強く受けます。
だからこそ、「やる気が出ない状態」は、脳と心が休息や調整を求めているサインでもあるのです。
■ やる気スイッチを“自然に入れる”ための5つのアプローチ
①「まずは5分だけ」動いてみる
やる気は、“動き始めることで生まれる”性質があります。
心理学ではこれを作業興奮と呼びます。
📌 ポイント:「やる気があるから動く」のではなく、「動くからやる気が出る」
まずは小さな行動をひとつだけ。
たとえば、机を片づける、PCを立ち上げる、ToDoリストを1つ書く——それだけでも十分です。
② 朝の光と水で、心身をリセットする
朝起きてすぐに太陽の光を浴びることは、セロトニンの分泌を促し、睡眠リズムや感情の安定に役立ちます。
🌞 朝起きたら、カーテンを開けて3〜5分、自然光に当たることから始めてみてください。
同時に、コップ一杯の水で内臓を目覚めさせ、脱水気味の脳に潤いを。
③ “五感”に心地よい刺激を与える
五感にやさしい刺激を与えると、脳の“情動”を司るエリアが落ち着き、思考の流れもスムーズになります。
🎧 好きな音楽を流す(クラシック、自然音などがおすすめ)
🕯 好きな香りをかぐ(アロマやハーブティーもOK)
🪟 空間を整える(整理整頓された場所は脳をリラックスさせる)
意外と見落としがちですが、環境が整うと、自然と「始めたくなる」状態が作られます。
④ 自分への“やさしい声がけ”をする
私たちは無意識に、自分に対して厳しい言葉をかけてしまいがちです。
❌「なにやってるの?早くやらないと!」
⭕「ここまでよく頑張ってるね。ちょっとずつで大丈夫だよ」
脳は、言葉に反応します。
やさしい言葉は、心を落ち着かせ、自己効力感を高めてくれます。
⑤ ご褒美とセットでタスクを分解する
「終わらせる」のが目的だと気が重くなりますが、
「ここまでやったら、コーヒーを淹れよう」など、小さな区切りを作ることで行動しやすくなります。
📌 タスクはできるだけ細かく、目に見える形で“可視化”しましょう
✅ 例:「メール返信3件 → ◯」「資料の見出しだけ作る → ◯」
達成できた実感が、次のやる気につながっていきます。
■ おわりに:やる気を「引き出す」より「育てていく」
やる気スイッチは、誰の中にも必ずあります。
ただ、それがどこにあるのか、どうすれば入るのかは、人それぞれ少しずつ違います。
大切なのは、「できない自分を責める」のではなく、
今の自分を理解して、やさしく整えていくこと。
やる気は、急には湧いてこないこともあります。
でも、心と体の状態を整えることで、少しずつ回復していきます。
焦らなくても大丈夫です。
今日できることを、ほんの少しだけ。
それだけで、十分な一歩です。
ご自身のペースで。ご自身のタイミングで。
あなたが気持ちよく一日を過ごせるきっかけになれば、嬉しいです。
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